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若林正恭と松本人志
【43 】「ナナメの夕暮れ」 若林正恭 著
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浩哉
2024/06/08

オードリーの若林さんの作品です。エッセイ集のようです。

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オードリーの若林さんの印象なんですが。

お笑い巧者なイメージがあります。


昔テレビを見ていた時、多分1本グランプリだったと思うんですけど、お題が難しいのか、空気が変な方向に行っちゃってるのか、なかなか1本が出ずに混乱した空気になっていたことがありました。


それを、若林さんが見事に起動修正した回答を出し、確か1本にはならなかった気がするんですけども、空気が元に戻っていったってことがありました。

発想が飛躍しすぎてたんでしょうね。おそらくネプチューンの堀健。もしくは千鳥の大吾あたりでしょうか。あの方たちが暴れ回って収拾がつかなくなったのを見事収めた感じです。

どうやらこの作品の前にも前作があるようですが。


〜〜個人的な見どころ〜〜

①お笑い。

なるほど。

やっぱり思っている以上に拗らせてますよね!(賛辞です)

やっぱり内から溢れ出るタイプの人たちのエッセイは面白いですね。

共感できる、できないの差は激しいんですけれども。


笑いは攻撃、見下しだってよく言われますよね。

芸人は、お客さんに笑いのポイントを提示して、安心して攻撃、見下す許可を与える。そして、笑わせるみたいな。


そのポイントの提示の仕方には種類があって。


作者とか千原ジュニアとか松本人志とかは、

きっと内から溢れ出る、ドロドロした気を練って笑いのポイントを繰り出すタイプなんでしょうね。


一方、その方達の相方は、それぞれそのエネルギーを上手く緩和してお客様に伝えるんでしょうね。

緩和しないと攻撃性ありすぎて、お客さん、安心して笑えないので。そう。どっか怪我しちゃいますので。

それにしても拗らせてます。


②意外な経歴

作者は、どちらかといえば繊細なイメージがあったんですね。相方の春日が大きいから余計にそう思うのかもですのが。


作者、高校時代アメフトをやっていたようなんですよね。

で、部員の人たちと、お互い会うなりタックルしあって雄叫びを上げるような、アレな人だったようです。


そんな人が内向的、人見知りってのが、どうも繋がらなくて。

その、変なアンバランスが魅力的なんだろうなと思います。

そもそも、内向的、人見知りが芸人やるってのもどっか矛盾してますよね。


③人生の節目

今回の作品は、前回の続編ですが、趣旨は少し違うようです。

前回の方が、より内側。自分の中で抱えていた何かを発散できていたようです。

で、それが一通り達成してスッキリし、年齢を抱えまた違った感覚を味わうようになります。

それが年齢を重ねることによる、落ち着きだったり、老いだったり。


なので、この作品は、エッセイというよりは、人生の節目のストーリーなんです。

少年から大人にとはまた違う、若手から中堅、ベテランへって軌跡のストーリーです。


その辺りの感情、感覚の変化。

これを文字で表現してくれることの有り難さ。

オードリーファンは嬉しいかもしれませんね。

これで、オードリーのお笑いが変化したとしても、これを受け入れる土壌はできてるって事になるので。


これを全くしなくて、恐らく必要以上にアンチを増やしたのが松本人志なのかなと。

例えば当初、タバコ吸ってて子供嫌い、酒嫌いだったのが、年齢を経て禁煙して子供やお酒を大好きになっていった変遷。

これを彼は何の説明もなく、謎に高圧的にやってのけるので、ファンの一部は何やあいつ?って感じでアンチになったと思います。


この、人生の節目における自らの変化を上手く文章で残していれば、松本人志のアンチはここまで増えなかったかもですね。

元々、若手から中堅の初期の真っ只中に遺書とか松本とか書いて、人気をより強固にしていたので、可能だったはずですが。


売れすぎて、周りのイエスマンたちに流されてしまったりして、自己愛、自己憐憫、自画自賛が高まってしまった副反応でしょうか。


一方、作者は、やっぱり1人好きってのが筋金入りだったのと、そういった縁が良かったんでしょうね。


 〜〜まとめ、雑記〜〜

そう。このエッセイ。

人生の節目の物語でした。

文庫版あとがきも書いていたんですが、そこでより明らかになりました。

父親の死、自身がライブ後に倒れて、謎の病気で救急車に運ばれたこと、本には一切書かれてませんが自身の結婚。

見事な節目ですよね。

そういった事が全て詰め込まれて、見事なストーリーになっていってました。


心に刺さった文言 本文↓

「他人の目を気にする人は〝おとなしくて奥手な人〟などでは絶対にない。  心の中で他人をバカにしまくっている、正真正銘のクソ野郎なのである。  その筆頭が、何を隠そう私である」

「自分の生き辛さの原因のほとんどが、他人の否定的な視線への恐怖だった」

なるほど。少し前の自分にも当てはまるかもしれません。

僕自身、人って人のこと、気にしないんだなってのが骨身に染みてわかってから、だいぶ生きやすくなりました。


僕の場合は、馬鹿にするとゆーよりは、迷惑じゃないか?って意味なく考えすぎてた所にある気はします。

そう。なんか他人をすぐ鬱陶しく思ってたかもですね。

僕も一人でいたい方なので。



そんなわけで、オードリーに興味を持ったので、ラジオを聞いてみました。オールナイトニッポンです。

寝ながら聞いてたので、一部しか覚えてないですが。

子育てのために、引越しを検討というお話。

不動産の人なのか、何なのか。誰かにしきりにか「町田」を勧められていたようです。

何でも、若林夫婦の条件。

フードコート、広い道、ブックオフ。

この3つでして。

それには町田が適切とのこと。


春日は、もっと東京に近いところでもあるだろ?ってお話してました。

まあ、確かにですね。


で、小田急沿線のお話にすすんで、ロマンスカー通勤のお話をされてました。

小田急沿線民としては、すごく楽しかったです。


僕は元は関西人なので、一時期、お笑いが好きで、ハマってました。それこそ、ダウンタウン世代じゃないですかね??

ダウンタウンの数あるお笑いのレパートリーでも、発想の転換が面白かったんですよね。

「お前が歌うんかい?」

ゴレンジャイの最初。

悪役の浜田に、ゴレンジャイの5人がダメ出しされる展開とか。

この発想の面白さ。


これは攻撃や見下しとは遠い所にあるとは思うんですが…。どうなんでしょうね?


楽しさからくる笑い、意表をつかれた事による笑い。

そこまで攻撃性や見下し性はない気もします。

考えだすと、お笑いって難しいですね。


何はともあれ、いつからか、お笑いに興味がなくなってきたのは、やっぱり自分の内なる攻撃性が無くなってきたからかもしれませんね。

お笑いで発散する必要が無くなってきたのかなと。

こちらも色々自己を振り返させてくれた作品でした。

では、また。