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【11】SF 青春版!!
【11】グラーフ・ツェッペリン 高野史緒 著
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浩哉
2024/02/17

「SFが読みたい。2024年版 国内編」で一位をとった作品を読みました。

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帯に青春SFってありました。

なんだろ?青春SFって?って思いながら読みました。

なるほど。青春SFって感じでした。


面白かったです。


   〜〜個人的な見どころ〜〜

 ①飛行船

これは個人的です。

昔、読んだ何かの漫画の影響です。

飛行船に、なんらしかのロマンを感じるんです。

もし、いくつかの悲劇的な事故がなければこの文化、続いていた?な所や。

爆発しなけりゃ安全。

落ちる時もゆっくり落ちるって話を、読みまして。


飛行機に乗るのが怖かった子供の頃は、落ちたとしても安全な飛行船に、ないものねだりな感情を抱いておりました。


まあ、荷物がそこまで積めなかったり、コスト的にも、建築的な事情にも合致しないので、爆発しないように作れたとしても微妙なんでしょうけど。


あと、フェチではないですが、シンプルにカッコよいですよね?あのフォルム。

それにしてもこの頃の航空事情。

色々胸熱です。

「星の王子様」作者の作品

「夜間飛行」なんか読んでいただければ熱さがわかるかと思います。

飛行機運転するの、マジ命がけな時代のお話です。


 ②重力

これも一時期、流行りましたね(?)

世の中の力は3つしかなくて。

強い力、弱い力、重力の3つだったと思います。

で、これもなんかの本で読んだんですが、

重力の振る舞いが、調べれば調べるほど独特で、別の次元を通ってるんじゃないか?ってくらい辻褄の合わない部分があるようで。


思い出しました。リサ・ランドールさんの本だったと思います。

難しすぎて挫折した宇宙の本です。


ドラゴンボールとかでもそうですが、重力を操るってなると、ワクワクしますね。

確か、ジョジョでも、重力を操る康一くんだったかな。強いですしね。


 ③量子

これはお馴染み中のお馴染み。

量子がこのお話でも出てきます。

主に量子コンピュータとして。

そして、やはり量子のわけのわからん動きを見ていれば、この世に時間ですらなんて存在してなくて、いくつもの次元や世界を行き来するのが自然。

特に不思議な事じゃない!

って、不思議なことを信じさせてくれるお話の進め方でした。


    〜〜まとめ、雑記〜〜

ここから壮大なネタバレも含めて。


この②と③。これに昨今では定番となったタイムリープ。この3点セットが今時のSFの肝なのかもしれません。

特に②と③は、これから科学が発達して、理解が深まれば、使えなくなるかもしれません!!

ちょうど、地球が丸いのがわかって、地球の端のお話が書けなくなったように。

なので、今が旬ですね!!


さて、本のお話。

まずは夏紀と登志夫の世界。

それぞれの世界でで何か違和感を持ちながら生活している2人。


夏紀の世界。

例の重力を扱える装置を駆使し、月や火星に基地を持ちます。

インターネットは、メールを相手に送れるって段階。

夏紀も普通の女子高生。

パソコン部に所属。なぜか機械類を壊しやすい体質。


登志夫の世界。

量子コンピュータが実用レベルになってきています。

宇宙に関しては、今のこの世界と変わらないレベルでしょうか。

登志夫は天才の部類にギリ?入ります。

飛び級で17歳だけど大学生です。

考えすぎるタイプ。


それぞれの世界で、何かといえないまでも、異変が起こっています。

2人とも、飛行船のグラーフ・ツェッペリンを見た記憶が頭から離れません。

ただ、この飛行船が見れたのは1929年の8月。

2人ともその場にいるわけないんです。

2020年代が舞台で、2人とも17歳なんで。


そんな違和感をかかえながら。

登志夫は大学のバイトで、量子コンピュータがある施設へ行きます。

夏紀はパソコンを操作して、初めてメールを操作します。自分のアドレスに送るんですね。相手もいないので。


すると、登志夫から返事がくるんです。

ここからの展開が一気に突き進んでいって、あっという間に読み終わりました。


なんていうか。

走馬灯のような描写が興味深いです。

こちら、安倍工房の「カンガルーノート」のような描写です。


僕はこの辺りの小説。

独特だとは思うんですが、面白さがイマイチわからなかった記憶があります。

読んだのが高校生くらいの時だったからかもしれませんが‥。

なんか、カンガルーノートのあとがきに誰かの感想が書かれてたんですが、面白くて爆笑したって書いてあったんですよね。


どこに爆笑する要素があったんだろ?

って思って。僕は読書に向いてないかも?って思ったもんです。


さて、最後。飛行船を前にした夏紀が思い切った行動にでます。

自分が犠牲になるかもってのをわかりきった上での行動のようです。

登志夫は呆然とします。

とにかく、この辺りの夏紀の思考が、読みきれず、追いきれずでした。

今思い返せば、そういった前振りはありました。

登志夫の世界にも、夏紀の友人はいるのかどうかとか。


それにしてもな急展開でして。

その辺り、登志夫と似てるけど反対なのかもなと思いました。

登志夫は誰かの役に立ちたいって切に願うタイプですが、考えすぎる。そのため、上手く行動に結びつかない事が多い。

登志夫が夏紀の立場なら、決心しかねたと思うんですよね。

登志夫が夏紀で、夏紀が登志夫だとしても。


最後の章。もう一度読み返したいですし、映画化というか、ドラマ化して2人の思考をもっと見せてほしいと思いました。


では。また。