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三体とプロジェクト・ヘイル・メアリー
【73】三体とプロジェクト・ヘイル・メアリーそれぞれの魅力
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浩哉
2024/09/21

いつか、軽く書いたんですが、僕の中での最近のSFのトップ2作品だと思うのがこの両作品です。


読んで、しばらくして改めて思うんですが、とにかく対照的な作品なんだなと。

その辺り改めてまとめようと思います。


まだ読んでない人だったり、読んでみたい人にとって、参考になれればとおもいます。


両方読んでない人はどちらか好みの方を。片方読んでる人は、もう一つの作品のイメージを。

両方読んだ人は、どちらが好みだったか等を噛み締めてください。


①あらすじ

「三体」

地球人を国の一つとして見立てた国盗り物語です。


三体人が敵国となり、そのほかにも、姿は見えないが確実に存在している国があります。


宇宙規模の歴史の中での、地球人の物語。

大河ドラマや、朝ドラのようなものですね。

超長期展開です。


韓国のドラマのような、何話あるんや?ってレベルのお話です。


最初は、文化大革命時の中国が舞台で、そこで宇宙との交信に成功します。

そこから、実際に三体人がやってきて、

交流か?戦争か?って話になってきて…ってお話です。


なので、その時々で主人公も変わっていきます。

もちろん時々の文化や科学の発達も。

いろんなドラマが詰まっていて、それこそ外伝とか作りたい放題のスケールの大きさです。


「プロジェクト・ヘイル・メアリー」

地球を救うミッションを1人で背負うことになった主人公の物語です。


最初のつかみが、「記憶喪失状態の主人公が、一人ぼっちで宇宙船に乗っかってる」

ところから始まります。

ここから、謎解きも含めていくんですが、基本的には地球を救うために動きます。


これは、映画向けですね。

ドラマでも大丈夫。

もしかしたら、日本くらいの全12話。もしくは海外の24話くらいがちょうどいいかもしれません。



②コンセプト

「三体」

「戦争、戦略、宇宙とは」

って感じでしょうか。非常に面白いです。


最後に出てくる次元下げ爆弾なんか、何?そのよくわからない長期的な自滅技みたいなの?

って感じです。


あと、作者は当時からある、行き過ぎたポリコレに反対の立場かな?ってちょい思いました。


特に3部作の3作目。

三体人に隙を与えてしまう最後?の主人公がいるんですが、隙を与えてしまうまでにいたる三体人による長期的な策略は、まさにポリコレを利用したとしかいいようがなくて、脱帽でした。


三体人。

最初は嘘をつく人間という存在が怖いって言ってたのにこの謀略の精度の高さよ!!

って思います。


「プロジェクト・ヘイル・メアリー」

「友情、科学、試行錯誤」

これは、昔でいうところの「ET」ですね。

スピルバーグの映画の。

ETと、その少年が、力を合わせて危機を乗り越える物語です。


オートファージだったかな。

ある時、太陽光を食べる微生物だったか、ウイルスだったかが発見されます。

こいつらの生命力、増殖力が半端なく、このままでは、太陽光が全部食われてしまい、人類が滅ぶぞ!ってなります。


それを防ぐために主人公は宇宙船に乗っていたことが判明します。

そのなかで、同じような境遇に苦しめられ、同じような発想でやってきた宇宙人と遭遇します。


そこで共同作業が始まるわけです。

どこかジャンプ的で、コンセプトは

友情、努力、勝利でもいいかもしれませんね。


③科学技術

それぞれの世界の技術とかはどうなっているか?

これをSFを読む人で気にしてる人はどれくらいいるかはわかりませんが、僕はそこまで読み込みません。

ふんわりとしか読まないです。

こうなったらこうなるのでは?

って作者の考え方が1割掴めたら充分かなと思うので。

なのでここではあえて、

「三体」と「プロジェクト・ヘイル・メアリー」の共通点を挙げます。

①光速を超えて移動はできない。

少なくとも、人類が移動する際、光速を超えて移動する技術ってのは開発されませんでした。


限りなく光速に近づくのは可能なようですが、ほぼ光速くらいのレベルだった気がします。

「三体」では、量子レベルのちいさなものだったら、光速を超えて移動は出来てたようです。智子とかそうですよね。


量子レベルの超小さなものを光の粒子で吹き飛ばすとか、そんなイメージだったと思います。


ただ、三体本体とか、かなり後期の宇宙船でも光速はクリアできなかったはずです。


「プロジェクト・ヘイル・メアリー」では、光を食べるオートファージ。

これを燃料にします。

詳しい原理はわかりませんが、光を食べるだけあって、エネルギーが凄いんですよね。原子力の何倍かってレベルでした。

これをロケットエンジンに組み込む人間の対応力の凄さを感じつつ。

それを使って光速近く出していました。


②冷凍睡眠でつじつま合わせ。

光速以上で移動できない以上、時間がつらいっす。

一番近くに移動する必要があったとしても何光年あったことか・・・。

三体が来るのにかなりの時間を使ってます。

で、その間、主人公たちをどうするか?ってのがありますよね。


「三体」なんかは、実際に三体が来るのはそれこそ100年後レベルだったりします。

登場人物どうなるのかな?主役かわるのかな?

って思ったりもしたんですが、それを解決したのが、

「コールドスリープ」の技術です。

かなりの技術進歩でして、

そのまんま、これで登場人物を上手くやり取りしていました。


「プロジェクト・ヘイル・メアリー」は、主人公がかなり離れた星のオートファージに免疫を持つ存在、正体をつかむため、宇宙船でコールドスリープ状態になってました。


こちらは未熟な技術でして。

なので冒頭、主人公が一人ぼっちで宇宙船にいる羽目になった理由でもあります。


そんなわけで、僕の印象ですが、最近のSFでは、光速を超える移動、ワープってのがなかなか描かれていません。

世の中が変わると、ものの見方も変わりまして。

恐らく、宇宙の色んな事が観測され、明らかになってくると、

「あ、これはないわ」

ってのも明らかになってきて、そのうちの1つが光速を超える移動なんでしょうね。


ほら。世界が探検されつくすと、ライオン人間とか、そういうのはいないだろな。少なくとも現実的じゃないなってなっちゃうのと同じで。


ワープも、なかなか苦しそうです。

漫画では、異世界ものとかで、異世界に行ったり、タイムリープしたりはしてますが、少しシリアスなSFだったり、本格的なSFだったりすると、このあたりは難しいんでしょうね。


次元の壁を超えるってのはありそうで、なんかのSF映画でもそんな描写があったかもですし、三体では次元をこえるとゆーよりは、次元を減らされたりするわけですが。


で、その鍵を握るのが重力波だったりして・・・。


そんなわけで、古典的なSFは、こうなったらこんな社会になるのでは?

といった思考実験を楽しめて、

最新のSFでは、現在の科学の到達点を再確認できるような。

そんな楽しみ方が出来ます。


SFっていいですね。


では、また。