今年、もう半分が終わったという事で、
今回は上半期ベスト5を書いてみようと思います。
さすがに順位まではつけられません。
番号は振りますが、順不同です。
あ、最近話題の「百年の孤独」を読んでます。
短編集です。
これが本当に平和な小説。短編集でして。
普通、本読むときは、映画でもそうかもしれませんが、結構体力がいるんです。
なぜか?おそらくは、小説や映画は、基本的に変化の物語なんです。
その変化ってやっぱり脳でも体験するんですよね。読んだり、見たりして追体験するわけですからやっぱり疲れるわけです。
ところがこの作品、読み始めはどんな感じなのかな?って思うわけですから、いろいろ覚悟して読まなきゃで、それは他の作品とおんなじなんですけれども‥。
この作品は疲れが全くないんですよね。
まぁおそらく日常系の作品だからなんでしょうね。
日常系の作品。ストーリーのパターンでいうと、おそらくは友情の物語か、人生の節目の物語になります。
読んでいって、それぞれの登場人物の節目の物語が展開されるんですけれど、この話の凄いところは登場人物みんなが優しくて、その変化を受け入れて、その変化の対象となる主人公たちは笑ってその変化を受け入れることができる点にあります。
ダークサイドの少なさ、こんな軽さだけで面白い小説が作れるんだと言った感動。
この感動が自分の中で思ったより大きくて、ずっと印象に残りました。
もう1冊続編があるんですけれども、こちらも安心して読めて面白かったです。
②「ガダラの豚」中嶋らも 作
これはⅠ Ⅱ Ⅲと別れています。
Ⅰ はびっくりするぐらいに「トリック」でした。
「ガダラの豚」が書かれた時はまだ「トリック」はなかったような気がするので、「トリック」は「ガダラの豚」を参考にしたのかなと。
それぐらい、テンポやパターンが似てました。
Ⅱ はアフリカ紀行でした。
アフリカのより現地の人たち感覚や生活。
呪いが自然に溶け込んでいると言うのはどういうことか?
それらの描写が本当に面白いです。
後半、これもまたトリック的な展開になるのかな?と思いましたが、そうはならなくて、どっちかと言えばミステリー、サスペンス的な展開になっています。
Ⅲ。
これが、もうまるで呪術大戦でした。
呪術はトリックです!!
っていうのを、Ⅱ の終わりあたりにラスボスが言ってたのもあり、呪術=トリックの方程式が読者の中に生まれていたと思います。
でも、それを覆すような事件がどんどん起こり、今まで登場してきた愛しいキャラはどんどん魔の手にかかっていきます。
今まで、うだつが上がらなかった主人公が、まさかの覚醒をしますが、覚醒の仕方が別にかっこいいと言うわけではなくて、ややコミカルです。
この作品を全体通しての明るさみたいなの明るさというか、脳天気さを体現してるような作品でした。
とにかく自由な発想で、物語が繋がれていく姿は本当に楽しかったです。
この三部作は本当に名作で、バラエティー、脚本コメディのお手本な気がしました。
③「パワー」 ナオミ・オルダーマン 作
女性がある時から自然発生的に電流を打ってから流すことができる能力を身に付けていく架空の世界のお話。
今まで、身体的には男性の方が体が大きく優位なので、一般社会でも男性が優位になっていて、女性が不当な扱いを受けることが多いと。
で、もしその身体的優位が逆転したら、どうなるか?といったお話です。
やはり女性が身体的に優位になったからといって、男女平等に近づくかと言ったら、もちろんそんな事はなくて、シンプルに立場逆転。ただの男女逆転って形で社会が動き始めます。
男女逆転して女性が優位になったとはいえ、今の社会システムはどうしても男性優位でそのシステムを動かす事はなかなか難しく、少し気長になってしまうことが考えられます。
力を得た女性のうちの1人が、思いっきりダイナミックな解決方法を考え出して、それを恐ろしく強い意思で実行します。
このオチが好きでした。
あら。そこまで思い切った事をやりきるのね?
って感じです。
周りに相談したら100%止められるこの作戦。
これをやり切った女性、ある種尊敬します。
あと、今の男女の微妙な距離感や、描写。
それが逆転した時の描写とか。
細かくてあるあるで、ああ、こうなりそう!って感じですごく面白かったです。
④「観光大国スペインに見る オーバーツーリズムの現在と未来」 高城剛 著
つい最近、読んだ本です。
作者が面白い人です。
何で書けばよいのか…。
なんか、プレゼンの天才って気がします。
オーバーツーリズム。
円安がどんどん進行してる今、日本における、京都や鎌倉のようなオーバーツーリズム、まだまだ続いて、何ならもっとひどくなっていくかもしれません。
もしもっとひどくなったらどうなるか?
これが既にひどくなりまくっているスペインを中心に考察していくお話です。
やっぱり面白いのが、スペイン通の作者がいろんな人に話を聞きまくって考察している点です。
スペインといってもいろんな地方があって、オーバーツーリズムに完全にやられちゃっている地方と、うまくいってる地方。
やはりその地方の首長やその周りの環境の差が大きいようです。
例えば、オーバーツーリズムをなんとかしようとしたら、ホテルを減らさないといけない。
でもホテル業者にすれば、そんなのお構いなしにオーバーツーリズム歓迎でホテル減らすのを抵抗したりします。
資本主義の宿命ですかねこの軋轢っていうのが。
なので、この本読んだからと言って、個人で何ができるっていうのはないんです。
それぞれ呼んでる人の立場も違いますしね。
観光地に住んでる人と観光地に行きたい人では全く違いますし。
でもきたるべき未来の形が少しでもイメージできていれば行動も変わってくるのかな?って言う本です。
何より未来近未来小説を書きたい人にはなかなかうってつけなのかなぁって個人的に思いました。
世界観の見せ方のうまさが際立つ作品でした。
⑤「発酵文化人類学」
この系統。
一風変わった研究者が、己の研究のテーマを発表する。
より具体的に研究の手法とか研究結果、研究の意味などを説明してくれる。ありがたいシリーズ。
上半期読んだ本で、そういう系統で面白かったのが、「発酵文化人類学」この作品と、「バッタを倒しにアフリカへ」です。
どちらもすごい面白いんですけれども、
この作品を選んだ理由が、やはり今の行き過ぎた資本主義コントロールできるかもしれない人とのつながりがテーマにあって、それは凄いと思いからです。
個人的に、小劇場や、地下アイドル?
この辺で頑張ってる人が個人的に好きで応援したくて。
その辺り、ヒントになりそうな気がするんですよね。
未だ何も浮かばないとゆーか、まだまだそれどころじゃないんですが…。
あと、発酵は思いきり身近ですからね。
身近な奇跡なんですよね。
生命の不思議さをこれでもか!ってくらい見せつけられましたよ。
ほんと、発酵って不思議で。
これがなきゃ、人類、ここまで発展しなかった気がします。環境問題も、このあたりが鍵を握ってる気すらします。
それに比べると、アフリカのバッタはどう考えても身近ではないですからね 笑。
以上、自分の環境と鑑みても含めての上半期ベスト5でした。
では、また。