user進化心理学とサイコパスへの道search
【12】おにぎり。
【12】東京近江寮食堂 渡辺淳子 著
like
user
浩哉
2024/02/21

これはもう、表紙のおにぎりです。

これに集約されています。

これにつられて読みました。

IMG_5521.png

続編はあるのですが、

やっぱり表紙がおにぎりじゃないので‥。

美味しそうではあるんですが‥。

食指がわかないですね‥。

色々気になる展開ではありそうなんですが。


続編があるといっても、お話は綺麗に終わりますので、おにぎりを読んでください。


   〜〜個人的な見どころ〜〜

 ①人の縁

主人公の妙子は、滋賀県の人。

10年前に行方をくらました夫から、ある日手紙が届きます。

それが東京の消印になってたので、東京へ探しにきた所からお話ははじまります。


財布を落とし、オロオロしてるうちに夫の手がかりと、近江寮との縁ができて、物語は進んでいきます。


そりゃ、小説だからってのはありますが、ここでも人の縁の尊さを感じました。


 ②深夜食堂もの

流れ的にはあまり見た事はないですが、深夜食堂ものです。

深夜ではなくて、朝食だったり、昼食だったり、お酒はなかったりしますが。


あとは、お客というか半分住人だったり、主人公も問題を抱えているのが違うところ。

日常ものというか、人生の節目ものって感じですね。


③日本の世代

登場人物、それぞれ悩みを抱えていますが、やっぱり印象に残るのが介護、闘病、老いだったりします。

そもそも、主人公がたしか60歳くらいの女性。同年代の近江寮の女性と食堂を切り盛りしてます。


この辺りの世代で人が集まってくると、やっぱり話題がその辺りに集中しますよね。


海外観光客のインバウンド、家出少女とパパ活、依存症やらLGBTとか。

そういう話題もありますが、やっぱり高齢化社会の日本を象徴しているなと。


   〜〜まとめ、雑記〜〜

③の続きですが。

やはり歳をとればとるほど、悲しいかな、病気とかの話題が多くなり、言っちゃ悪いですがしみったれた雰囲気をつくるんですよね。

で。その中にいると、そのしみったれた雰囲気にのまれて、なんかやってられなくなります。

その場を離れる事で、なんとかやっていける部分があり。

それが僕が実家の近くの職場でありながら、一人暮らしした理由だったり、ある職場を辞めた理由だったりします。


一方で、歳をとってもそんな話題よりも楽しい話題する人もいて。

そこらへん、個人差はあるんでしょうけれど。後者な人間になりたいなと。

切に思いますね。


何かを作る特技を持ってる人は本当に羨ましい。料理なんて特に。

羨ましいでトップレベルに入りますよ。

僕も人並みには料理は作れますが、なんてゆーんですかね。

人に提供するレベルではないといいますか‥。


なににせよ、自分で作った何かに人が集まり、なんらかの糧になる。

そういうなにかを自分は作りたいんだなって思ったりしました。

まだまだなにかが浮かんでるような、浮かばないような。微妙な状況ですが、いつか形にしたいなと。

そういう目的をあらためて感じれたのが良かったです。

それこそおにぎりを食べて頑張っていければなと。


あとは主人公の夫婦の問題。

夫が出ていって10年。

50代あたりからの10年。

長いのか短いのか。

歳を重ねると、時間が経つの早くなるんでしょうが、この場合はどうなんでしょうね。

恐らくは自己嫌悪とかで出て行ったんでしょうし、結果を出して戻ろうと思ってだと思います。

彼の人付き合いの悪い癖。

知り合いにも1人いまして。

色々身に染みてわかったりもします。

その癖に彼は気づいてたかどうかわかりませんが。

10年。色々苦しんだんだろうなって思いまして。

色々挑戦して、結局敗れた形になったんでしょうけれど。

ある事で自分に打ち勝って心の整理がついたのかもしれません。

この辺りのサイドストーリーも読みたいですね。

なんなら、そっちの方が気になります。

もしかしたら、続編でその辺りの事も書かれているかもしれませんね。

だとしたら、読んでみようかな…。

あと。忘れちゃいけないのがヨシ子の存在。

長老的立場にいまして、色んな人を色んな言葉で救っていきます。

やっぱり心に沁みます。

この貫禄。きっと。本人にそこまでその気はないのに刺さる言葉。

ほんと、どっから出てくるのやら。本文↓


「あんた、本当に忍さんとやらが死にたがってると思ってんのかい?」

ヨシ子は池花を見据えた。

「思いたくないけれど、本人がそう言うと、つい……」

「誰だって死にたくないさ。だから無駄だとわかってても、口に入れるんだ。何度も何度も試してるのさ」


この辺りのセリフ。

なぜだか、一番沁みました。

闘病で味覚障害になって苦しんで、死にたいと言っている忍。

そのパートナーの池花が看病に疲れてることを愚痴ってた時のセリフです。


なんでしょ、人って年長者の言葉を

素直に聞き入れられるようになってんですかね。

尊敬できる年長者に限りとは思いますが。


そんなわけで、色々、面白かったです。

では、また。