これはもう、表紙のおにぎりです。
これに集約されています。
これにつられて読みました。
続編はあるのですが、
やっぱり表紙がおにぎりじゃないので‥。
美味しそうではあるんですが‥。
食指がわかないですね‥。
色々気になる展開ではありそうなんですが。
続編があるといっても、お話は綺麗に終わりますので、おにぎりを読んでください。
〜〜個人的な見どころ〜〜
①人の縁
主人公の妙子は、滋賀県の人。
10年前に行方をくらました夫から、ある日手紙が届きます。
それが東京の消印になってたので、東京へ探しにきた所からお話ははじまります。
財布を落とし、オロオロしてるうちに夫の手がかりと、近江寮との縁ができて、物語は進んでいきます。
そりゃ、小説だからってのはありますが、ここでも人の縁の尊さを感じました。
②深夜食堂もの
流れ的にはあまり見た事はないですが、深夜食堂ものです。
深夜ではなくて、朝食だったり、昼食だったり、お酒はなかったりしますが。
あとは、お客というか半分住人だったり、主人公も問題を抱えているのが違うところ。
日常ものというか、人生の節目ものって感じですね。
③日本の世代
登場人物、それぞれ悩みを抱えていますが、やっぱり印象に残るのが介護、闘病、老いだったりします。
そもそも、主人公がたしか60歳くらいの女性。同年代の近江寮の女性と食堂を切り盛りしてます。
この辺りの世代で人が集まってくると、やっぱり話題がその辺りに集中しますよね。
海外観光客のインバウンド、家出少女とパパ活、依存症やらLGBTとか。
そういう話題もありますが、やっぱり高齢化社会の日本を象徴しているなと。
〜〜まとめ、雑記〜〜
③の続きですが。
やはり歳をとればとるほど、悲しいかな、病気とかの話題が多くなり、言っちゃ悪いですがしみったれた雰囲気をつくるんですよね。
で。その中にいると、そのしみったれた雰囲気にのまれて、なんかやってられなくなります。
その場を離れる事で、なんとかやっていける部分があり。
それが僕が実家の近くの職場でありながら、一人暮らしした理由だったり、ある職場を辞めた理由だったりします。
一方で、歳をとってもそんな話題よりも楽しい話題する人もいて。
そこらへん、個人差はあるんでしょうけれど。後者な人間になりたいなと。
切に思いますね。
何かを作る特技を持ってる人は本当に羨ましい。料理なんて特に。
羨ましいでトップレベルに入りますよ。
僕も人並みには料理は作れますが、なんてゆーんですかね。
人に提供するレベルではないといいますか‥。
なににせよ、自分で作った何かに人が集まり、なんらかの糧になる。
そういうなにかを自分は作りたいんだなって思ったりしました。
まだまだなにかが浮かんでるような、浮かばないような。微妙な状況ですが、いつか形にしたいなと。
そういう目的をあらためて感じれたのが良かったです。
それこそおにぎりを食べて頑張っていければなと。
あとは主人公の夫婦の問題。
夫が出ていって10年。
50代あたりからの10年。
長いのか短いのか。
歳を重ねると、時間が経つの早くなるんでしょうが、この場合はどうなんでしょうね。
恐らくは自己嫌悪とかで出て行ったんでしょうし、結果を出して戻ろうと思ってだと思います。
彼の人付き合いの悪い癖。
知り合いにも1人いまして。
色々身に染みてわかったりもします。
その癖に彼は気づいてたかどうかわかりませんが。
10年。色々苦しんだんだろうなって思いまして。
色々挑戦して、結局敗れた形になったんでしょうけれど。
ある事で自分に打ち勝って心の整理がついたのかもしれません。
この辺りのサイドストーリーも読みたいですね。
なんなら、そっちの方が気になります。
もしかしたら、続編でその辺りの事も書かれているかもしれませんね。
だとしたら、読んでみようかな…。
あと。忘れちゃいけないのがヨシ子の存在。
長老的立場にいまして、色んな人を色んな言葉で救っていきます。
やっぱり心に沁みます。
この貫禄。きっと。本人にそこまでその気はないのに刺さる言葉。
ほんと、どっから出てくるのやら。本文↓
「あんた、本当に忍さんとやらが死にたがってると思ってんのかい?」
ヨシ子は池花を見据えた。
「思いたくないけれど、本人がそう言うと、つい……」
「誰だって死にたくないさ。だから無駄だとわかってても、口に入れるんだ。何度も何度も試してるのさ」
この辺りのセリフ。
なぜだか、一番沁みました。
闘病で味覚障害になって苦しんで、死にたいと言っている忍。
そのパートナーの池花が看病に疲れてることを愚痴ってた時のセリフです。
なんでしょ、人って年長者の言葉を
素直に聞き入れられるようになってんですかね。
尊敬できる年長者に限りとは思いますが。
そんなわけで、色々、面白かったです。
では、また。