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秀吉 その2
【79】 「新史太閤記 下」 司馬遼太郎 作
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浩哉
2024/10/12

ようやく読み終えました。

体がドラマ大河ドラマを見ているようで、楽しかったです。

秀吉とともに、戦国時代を旅する機会に恵まれたかなと思います。


秀吉かっこよかったです。


〜〜個人的な見どころ〜〜

①調略、調略。始まる前に終わらす。

秀吉の最大の発明は、城攻めの方法です。

それまでの戦国時代の城攻めといったら、兵隊による力押しでした。


信長も序盤の序盤。斎藤道三が死んだ後、城攻めにかなり苦労しました。

それを秀吉が新しい方法を用いて城を落とします。

城ではなく、人を攻めて、調略して落とすと。


そういった方法がうまくいってから、信長もそういった方向に舵を切って、どんどん勢力範囲を広げていきます。

味方になってくれそうな人をとことん口説いて、それを広げるだけ広げ、民衆をできるだけ味方に引き入れます。

戦を始める前には、もう勝利への道筋が明らかになっているといったような戦法。


秀吉は、この発明でいろんな城を落として行きました。

有名なのは毛利の城攻め。水攻めですね。

この本の中には書かれてなかったんですが、秀吉は天下統一の最後の小田原城ですかね。そこでも同じ手法をとっていました。

水攻めよりは兵糧攻めだったと思いますが。


時間をかけずに犠牲を増やさずにするには、その方法しかなかったってのはありますが、その発明がやっぱりすごいなと思います。


秀吉が天下統一できた理由は、城攻めの概念を変えた発明かと思われます。

信長が鉄砲なら、秀吉は城攻めですね。

人を口説き落として裏切らせる。

兵糧攻め、水攻め。

そういった城攻めの柔軟さ発想の素晴らしさ。

この本は城攻めの本としても有用かもしれません。


秀吉にとって、城攻め=土木工事って書かれてましたが、いい表現だなって思いました。


②身銭を切る。

前回も書きましたが、秀吉は調略、謀略の人です。

だけど、時には戦場で命をかけます。

ある撤退戦でしんがりを務めたりもしていますしね。


だけど、身銭を切っているのは戦場だけではありません。

前回も書いた通り、信長に仕えること自体が命がけだったりはするんですけれども、

この身銭を切るというのは、信長が亡くなった後でも変わりません。


敵の対象を味方に入れるために芝居を打って、単身、敵の領内へ乗り込んで交渉したりします。

これらが史実なのか、司馬遼太郎特有のかっこいいフィクションなのか、っていうのはわからないんですけれども。


とにかく、そういった形で身銭を切っていなければ、敵の大将もそうやすやすと降参したりはしてなかったでしょう。

それにしても、戦国時代と言う本当に乱世の世の中でそういった真似ができるっていうのは、凄まじいですよね。


今でも大概、頭のおかしいヒャッハーな人が多いですが、戦国時代にはもっと多かった気がしますよね。

そんななか、敵地へほぼ単身で乗り込んだりするのは…。

いやもしかしたら、戦国時代では、今でいうヒャッハー的なだけの人たちは簡単に淘汰されて、大将になれなかったりするから、その辺もあるのかもしれないですね。


少なくとも大将レベルは、意外とまともだったのかもしれません。


③秀吉の悲しさ。

秀吉は狂言でここまできたと自身を振り返ります。

信長に召し抱えられた時から、狂言の連続だったと。


天下は取れましたが、他の武将と違い、特に自らの家臣団がいるわけでなく、芯から頼れる人が誰もいない悲しさを常に抱えています。


よく考えると、演技をし続ける事が彼の存在理由だったりしたのかもですね。

頼れる仲間がいない。

信じる者は己のみ。

なので、身銭を切る。命をかけたり、無茶なことをしでかしたりできたのかもしれません。


才能があるだけでは不十分で、それでも生き残る運の良さが必要で、それがあったのだと思いますが、天下に近づけば近づくほど、その悲しさが膨らんでくるんでしょうね。


この悲しさを最後に持ち出す司馬遼太郎。


ずるいです。

最後、どこかジンときました。


辞世の句といわれてるのもいいです。


露と置き 露と消えぬる わが身かな

浪華(なには)のことは 夢のまた夢


〜〜まとめ、雑記〜〜

やっぱり司馬遼太郎は、男かっこよく描く名人だなと思いました。

秀吉のかっこいい部分だけをかっこよく描いています。


それゆえに触れられていない部分もあります。

信長にしっかりと仕えていたんですけれど、

信長の比叡山焼き討ちや一向宗のジェノサイドについては、不思議と触れられていないです。


後は有名な晩節ですよね。


最後の本には耄碌したとかいろいろいわれちゃう人なんですけれども。

よく考えれば、秀吉の死後、すぐ家康が天下を取っていくわけで、その家康の時代が長く続くことになるんです。


そう考えると、家康の前の天下人の秀吉を多少なりと悪く描くのは無理ないことかもしれません

もしかしたら実際は晩節もそこまで耄碌してなかったかもって思っちゃいます。


天下人秀吉のその後っていうのがあれば面白いなと思ったんですけれども。

メインはやっぱりあれですね。vsイエスズ会ですよね。

反イエスズ会。それを家康も継承していたと思われるので、秀吉家康のホットラインっていうのは確立していたのかなと思います。その辺り、胸が熱くなりますね。


天下を取った後、秀吉とイエスズ会との戦い。

これをちょっとゆっくり考えていきたいなと思います。

時間とか才能とか金とかがあったら、その辺のこと、自分なりに調べて自分なりに書きたいなと思いました。


そんな気分にさせてくれる作品です。

では、また。