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短編SF!!
【23】「息吹」 テッド・チャン著
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浩哉
2024/03/30

やっぱり僕が基本的に読みたいのはSFなんだなって最近思います。

「三体」や、「プロジェクト・ヘイル・メアリー」のような名作を見つけるために今日もSFを読み進めてます。

今回は、テッド・チャンの短編集。「息吹」





この人の作品で有名なのは、「あなたの人生の物語」って言う短編集で、表題作は映画にもなったようです。


正直それはまだ読んだことがなくて、図書館でこの本と縁があったから、まずこの作品を読んでみようと思いました。

まだまだ読んでる最中ではありますが、途中経過を書いていこうと思います。


〜〜個人的な見どころ〜〜

①一作目は「商人と錬金術師の門」

とある商人と老錬金術師の物語。

ある商人が、自称錬金術師と出会います。


商人は常識人で、自分のことを「錬金術師」とのたまう老人にまっとうな警戒心を抱きます。

老錬金術師は、百聞は一見にしかずとばかりにわかりやすい発明品をみせます。


それは大人が通れるほどの大きなリング。

どっちかにくぐれば過去に行けて、どっちかにくぐれば未来に行けます。

通り抜けフープとタイムマシンが合わさったものです。


さて。こういう、時間旅行をテーマに取り上げると、避けて通れないのが「タイムパラドックス」

過去の自分に会って、影響を与えると、今の自分はどーなる?消えてしまうのか?

ってやつです。


これをこの作品はどう解釈するのか?ってやつでして。


この作品では、いくらこのリングを使って過去や未来の自分に会ったところで、過去や未来は「絶対に」変わらん!!ってスタンスでした。

なるほど。そうきましたかと。


舞台が中東。時代は忘れましたが、アッラーの世界観が優勢な世界。唯一絶対神。

タイムパラドックスのこの考え方と相性、良さそうですね。


で。いくつかお話が語られます。

あるものは未来に、あるものは過去に。

なるほど、確かに未来や過去は変わっていません。


さて。主人公はどちらを選ぶのか?


その辺りを楽しみに読める作品です。


で、もし自分ならどちらを選ぶか?ってのを考えるのも面白いですよね。

このリングでは時間の調節は出来ず、20年後か、20年前って決まっていますが。この縛りならどちらを選ぶか?10年なら?って考えていくのも面白いです。


 ②2作目は「息吹」表題作でもあります。

最初、主人公が人工肺を使って、自ら肺を交換してたりしてて。

を?未来の人類か?って感じで読み進めました。


自分で空になった肺を充電器みたいな入れ物に差し込んで、満タンになってる肺を自らの肺にセットしたりしてます。

そう。まるでスマホの充電さながらに肺を気軽に入れ替えてるんですよね。

で。その肺は個人専用ってものじゃなくて、誰のでもなくて、みんなが普通に使い回ししてるといった感じで。


これ。未来の人類か?(2回目)って思いながらも、それにしてはちょい感覚がわからんな。って世界観を見せつけられます。


で。そのうち世界全体で時間が同じように狂うという謎の現象に主人公が引っかかり、自らの身体を犠牲にして謎を解こうとします。

いや、そんな謎よりあんたら一体何者やねん!

って思いながらも読み進めます。


やがて、その謎が解けると同時に、主人公たちに絶望が襲いかかります。

その。絶望に至るまでの、理論や構成が面白いです。


 ③3作目が「ソフトウェア オブジェクトのライフサイクル」

こちら実はまだ読んでる途中です。

ただ序盤でこれはもう面白いなって感じにはなっていってます。


ネット上でのペット開発の会社に転職する主人公。そこで、必死で開発を進めます。

進めていくうち、やはり色んなハプニングがあったりします。成長の仕方や速度が予想以上に著しかったり。

昔AI同士に会話させたら差別用語が蔓延したってニュースもありましたが、それと同じような問題もやはり起こります。


で。あ、これは、いわゆる仮想空間でのペットの話かなと思いました。

実際にそういう商売、出てきそうやなと思いながら。


実際その通りに話は進んでいきます。

で。ある会社が、実際のロボット。ペッパーくんのようなものを発明します。

これは、ネット上のペットのデータをそのロボットに移植して、ネット上でのペットが現実世界を動き回るといったものです。

その時点でもう面白い!と思いました。ってか、その発想がすごい。


今、読んでる途中では、主人公の会社。ネット上でのペットを作った会社は、そのプロジェクトから手を引き、ぼそぼそとした1部のファンだけで盛り上がっている状態です。

手を引いた理由がまた面白くて。

ほんと、実際にありそうすぎて…。

読んでほしいです。


おそらくきっと、これからのストーリーは、3次元に移植されたペットたちが大暴れするかもしれません。どうなっていくか楽しみです。


今のところの感想としては。

ネット空間や仮想空間よりもやっぱり3次元の現実空間の威力は絶大だな。って思いました。

続きが気になります。


    〜〜まとめ、雑記〜〜

未来と過去。

①ですね。この作品が印象に残ってます。

色々考えた結果。

やっぱり過去に意味はないのかもって思いました。

自分でも、いろんな選択を後悔するたびに、過去に戻りたいと切に願う事ばかりです。

でもやっぱり、過去に意味なんてないんだなと。

しみじみ思います。

大切なのは、やっぱり未来の目標と、そのために生きる現在なんだなと。


過去も大切で、歴史や失敗に学ぶべきってのはもちろんです。

ただ、それは過去というよりは知識、経験とかで。

扱いに気をつけなけりゃならないもんなんだなと。

経験に縛られると新しい発見が出来なくなったりもしますからね。


それにしても①の作品。ほんと数学のような美しさでした。


今回、いろんな本を乱読してて、一冊の本をじっくりってわけにはいかなかったです。

岡本太郎の本を久しぶりに読んだりしてて。

やっぱり熱い人ですね。彼は。

自分にびっくりするほど厳しい人で、

何より彼の時代にあの生き方ができるのがやっぱりどっか壊れてそうで面白いなと。


引越しもなくなり、お金ピンチが続きますが、今週も踏ん張っていこうと思います。


ではまた。