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スパイ小説。
【18】プラハの墓地 完結編
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浩哉
2024/03/13

読み終わりました。

色々陰謀とか偽書とか書きましたが。

あっ!!て思いました。


これ、スパイ物語でもあるんですね。

読み終えてから気がつきました。

スパイの武器として陰謀を使うって感じですね。


IMG_5562.jpeg


こういうスパイ物語にありそうな主人公の顛末と、その後、主人公が書き上げたとされる「シオンの議定書」


これがヒトラーの手に渡り、ユダヤ人けしからんってなって、あの悲劇が起こったとされてる感じでしょうね。


    〜〜個人的な見どころ〜〜

  ① スパイの難しさ。

スパイの条件ってのがありまして。

敵がいなけりゃダメなんですよね。

明確な敵が。


幸い、この混迷の時代、いろんな思想のいろんなグループがあるので、スパイは大忙しのようです。

基本、ある特定の権力vs.相手方の権力になりますよね。

ところが、そのお互いの権力が全く安定しないんですよね。

下手すりゃ秒で仕えるべき集団が無くなる可能性もあるわけで…。


 ②使い捨ての激しさ。

そんなわけですから、権力を持ってる人とその使いも、スパイに対してわりと冷淡ですね。

この作品の中でも結構簡単にスパイを切っていってて。


場合によっちゃあっさりとやられちゃいます。

それこそ次のスパイなんかに。


主人公もね。最後の方はそういうのに怯えながら暮らしていたりします。

とはいえ、主人公。スパイをし、色んな勢力に薄く広く関わっていたわりにはかなり長く生きてたような気もしますが。


 ③割の合わなさ、達成感のなさ。

相当難しい仕事ですよね。スパイって。

「スパイファミリー」なんかは、味方とゆーか、バックの権力が割と安泰で。

敵もわりとシンプルに明確で安泰なので、呑気にアーニャに学校生活を送らせているんですが…。


これも、どちらかの権力が無くなってしまえばミッションも終わるわけで。


何度かそんな趣旨のお話もあったかもですね。

学校に通う意味がなくなる的なお話。


そんなわけでスパイって正直、全く割が合わないし、自分の力ではどうしようもなさすぎる事が多すぎるし。

ミッションをこなしても、そのミッションが本当に味方の権力のためになるか?って問題もあります。


結果、相手の権力のプラスになって、自分は悪くないのに味方に追い詰められるってのもありえますからね。


あとは味方のためになっても、それがわかるのがかなり未来ってのもあり得ます。

いや、ほんと、世のスパイのみなさんは一体何をモチベーションにしてらっしゃるのだろう?


     〜〜まとめ、雑記〜〜

お話自体は、主人公のボスの指令で、軍の中でユダヤ人を出世させたくない。軍の規律を!的な意味で、ドレフュス事件にかなり深く関わります。


 ※ドレフュス事件…1894年にフランスで起きた、当時フランス陸軍参謀本部の大尉であったユダヤ人のアルフレド・ドレフュスがスパイ容疑で逮捕された冤罪事件。


作品の中でスパイ容疑の証拠として挙げられたのが、主人公が、偽造した明細書です。

無事成功するんですが、なんか色んな違和感があり。疑心暗鬼にとらわれます。


その後、ドレフュス事件の背景や、過去の仕事をロシアのスパイに暴かれ、色んな工作の後始末をするにあたり、あるユダヤ人女性と牧師をまたもや殺害します。


自らネタにしてたフリーメイソンの怪しい儀式の犠牲になりながら…。


そして、ロシアのスパイに虎の子の「シオンの議定書」を譲渡し、終末へ向かっていくんですが…。


とはいえ、読んでると、元々なぜかはわかりませんが、ユダヤ人がけしからん的な空気が醸成されていていますね。

で、主人公はそれにそっと背中を押す感じの資料を偽造すると。このパターンが多かったです。


最初の頃は、一冊の書を始末するのに船ごと爆破させたりとか、デモや反乱分子を逮捕するために集会を誘導するといった直接的な行動もしてきますが、後半は背中を押すだけが多いです。


ユダヤ人が世界征服をたくらんでるって事をまとめた「シオンの議定書」(主人公 著 ロシアの情報部のモノになる)のちにヒトラーがこれを読んでユダヤ人迫害を決意するって話で締めくくられていくんですが。


これもね。ヒトラーがこれを読まなくても同じ事はしたんじゃないかってのはありますね。

その辺の因果関係の証明の難しさが、陰謀、スパイの難しさですよね。


何度も似た事書きますが。

個人的にすごく興味があるので。


今のネット社会のスパイ活動ってどうなってるんだろう?ってのが気になります。

情報がえらく氾濫してるし、敵味方がすごく複雑だし。権力にしても、利益にしても変遷のスピードがとにかく速いし。それこそ昨日の敵は今日の友だったり、その逆だったりが、昔と比べると光速並みのスピードで入れ替わるだろうし。技術の進歩のスピードとかも大変そうだし。

大変だなって…。


昔ながらの、それこそアメリカ、ロシア、中国とかいった、国単位なら、そんな変わらなく活動はしてそうですね。インテリジェンスとかありますし。


ただ、ハードル、レベルは高くなってるんだろうなと。


で。次からはもう一つ、途中で挫折した「グラディオ作戦」って本を読もうと思います。

対共産主義に非公式であれこれをした公式的なスパイ本です。


英語本なので、読みきれなかったんですが、昨今の翻訳の技術向上もあり、時間をかければ読めそうになってきたので。


それこそ何週かかるかわかりませんが、読んでいこうと思います。


では、また。