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感情の役割
【102】「だまされ上手が生き残る 〜入門!進化心理学〜」 石川幹人 著
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浩哉
2025/01/01

この方の作品。2作目です。

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前はこちら。


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なので、少し内容も似てる部分が多かったです。

とはいえ、今回のテーマは心理学。

より、感情の重要さにスポットを当てた作品になってます。


テーマ的には、前頭葉がもてはやされる昨今。

感情より理性がもてはやされてますよね。

そこに待ったをかけて、元来からある感情も大切だよという作品です。


〜〜個人的な見どころ〜〜

①だまされやすいのは仕方ない

これは、目の錯覚にもありますよね。

よくクイズみたいなのをだして、どっちが大きく見えるだの、何色に見えるだの。

脳の処理の仕方によるものなんでしょうけれど、そのように作られてるんだから、目の錯覚に引っ掛かるのはむしろ当然。目が正常に働いてる証拠やん!

って思うものなんです。


これの感情版ですね。


例えば、草むらの中に落ちていたヒモ。

これをヘビと勘違いして逃げ出します。

そう、これもある種、騙されたわけです。


でも、ホントにヘビだった事を考えると、命拾いしたわけですから、騙されてもよかったってお話になります。


事実、こういった事で我々は今まで生き延びてきたわけです。だまされるのが悪いことではないという典型ですね。


②羽生善治氏の詰将棋

将棋。ディープラーニングの影響で、AIが人間より遥かに強くなってしばらく経ちますね。


それでも面白いのが将棋の深さです。


そんな将棋なので、脳を使うっていうと、前頭葉。新しい脳を、ふんだんに使いまくる!って思いますよね。

ところが、羽生善治氏が詰将棋を解くとき、「古い脳」が大きく活動していたようなんです。


古い脳。実は「決断」を下すのに便利なようです。

新しい脳のように、計算だけ早くても、決断を下すのは難しかったりします。

意外と決断って頭でっかちだとできないんですよね。


昔、AIを作る時の悩みもそれだった気がします。

例えば、今いる地点からAの地点にある食べ物をとるか、Bの地点にある食べ物をとるか。

近い方をとるよう設定されてたとして、全く同じ距離だとすると、食べ物を取れずにフリーズしちゃうんです。


そこで、人間なら感覚でなんとなくこっちにしようって決められますから。

そういった感情を用いての決断のシステムが備わってるのが面白いですね。


③いくつかの原則

感情。これをいかにうまく使いこなすか。

どう手なずけていくか?

感情の究極要因を知っておくことで、うまく人生を乗り切っていきましょうってテーマの本です。

どなたかの本にもあったんですよね。


古い脳は猛獣で、すごいパワーを持っていて、油断してたらすぐに乗っ取られちゃう。

新しい脳でなんとかコントロールしなくちゃ!って作品。


この本は、コントロール!って強い言葉を使ってるわけじゃなく、共生しましょう!だまされましょう!って柔らかい言葉ですが、似てるっちゃ似てますね。

そんななか、うまくだまされるには?

って形でいくつかまとめてあります。


1 感情の究極要因を知っておく。

2 無意識の働きを意識する。

3 だまされていると自覚する。

4 行動の一貫性に過度にとらわれない。

5 想像した内容を現実に照らしてみる。

簡単にまとめますと、

1、2に関しては、元々人類は小集団の狩猟民族だった!って事を念頭において、負の感情がおそったりしたときに振り返り、気にしすぎないようにしようって感じ。


3は、共同幻想に乗っかってるって自覚して、おかしいものがあれば、そっと距離を置くといった感じでしょうか。


4は、元々小集団で生きてきてるので、今のような小集団にいくつも属する必要があったり、変化が激しい中で、一貫性はあまり意味がないことが多いので、こだわらないようにしましょうってもの。

個人的にはこれ、自分にも他人にも厳しい目でみてたとこがあったので、参考になりました。


5は、そのままの意味ですかね。

詳細は本書で。


〜〜まとめ、雑記〜〜

あたりまえだけど、あくまで適度に、うまくだまされることに注意が必要です!(なんか、AIっぽい文言になってしまいましたが)


あくまで世の中の構造を理解した上での事ですね。

例えば、お金は共同幻想ってわかってても、うまく利用して便利なので使っていきましょうってお話です。

もろに詐欺師にだまされるのは、やっぱよくないし、生き残れませんからね。


そんなわけで、残りの雑学一点。

・乗り物酔いで吐くのと、もらいゲ◯の正体。

乗り物酔いで気分が悪くなり、吐いてしまう理由についての考察が面白いです。

悪い食べ物を食べてしまい、ふらふらするのが起源といわれてるんですね。

むかしはこういう乗り物なんて無かったもんなので、ふらふらする=悪い食べ物を食べてふらふらってなる一点張りだったと。


そこで、しっかりと食べ物を吐いたものが、生き残る可能性が高かったので、乗り物酔いが生まれたようです。


しかも、もらいゲ◯ってあるじゃないですか。

あれも原理は同じで。

怪しい食べ物を食べて、仲間が吐いた場合、自分も同じ食べ物を食べてる可能性が高いため、同じように吐くことで生存率を高めていったって考えられてるんですね。


なるほど、僕もそっち、よくなりかけるんですよ。

誰かが吐いちゃってると…。


そういう理由が隠されてるというか、背景が考えられてるのがとにかく面白いですね!

では、また。