ガダラの豚。
有名だけれども読んだことがない作品です。
読んでみたいけれども、うまく縁がなくて読んでいなかった作品。
こういうのは結構あります。
このガダラの豚もそうですが、「ドグラ・マグラ」とか、ゲーテの「ファウスト」とかシェイクスピア周りもなかなか読めてませんね。何冊かは読んだんですけれども。
中島らもの作品は「今夜すべてのバーで」を読んで結構かなり面白かったので、ゲットできてうれしいです。
今回、Ⅰを読んだんですが、僕の好きな連続ドラマ「トリック」いろいろそっくりでした。
①呪術やマジック。
これら成り立ちや正体が面白く書かれてます。
テレビ番組に出演しているアフリカの呪術関係の専門家である主人公。
彼がテレビ出演するところから始まります。
ん?
なんかありましたね?こういうの?
そう。「トリック」で。
阿部寛がテレビに出て超常現象のことを語る感じで。
もっとも、ガダラの豚の方は、呪術を信じてるというか、肯定してる側ですが。
やっぱりトリックやマジックの種明かしを実際に書いてるのは面白いです。
これが本当か嘘か、実行可能か不可能かわからないんですけれども。なるほどこういう感じかっていうのが伝わりやすいです。
②新興宗教にハマる妻
主人公の家にもいろいろあります。
主人公はアフリカにフィールドワークによく行っていくんですけれども、そこに家族も連れて行きます。
で。その時に娘だけを乗せた気球が墜落して、娘を死なせてしまいます。
それがトラウマになった妻。
ひょんなことから新興宗教にハマってしまいます。
ハマった理由がね…。教祖が色々超常現象を見せたから!!
あれ?このパターンもどっかでみた気がします。
まんま、「トリック」ですよね。
そういや、いつも思うんですが、教祖とかが、すげー手品したからなんだ?って思うんですよね。
なぜそれで信仰につながるのか?
僕にはあまり理解できません。
まあ、とにかく、トリックの第何話かに出てきそうなお話ですね。
③妻の目を覚まさせる
で。妻を新興宗教から離脱させるために、主人公はテレビ番組で共演したトリックの種を暴くことに情熱をかけた男に相談を持ちかけます。
その男もそういったことが許せないタイプの男で、トリックを新興宗教とかそういったお金儲けに使うのが許せないタイプの男です。
大いに協力し、新興宗教の本部に乗り込み、教祖が行った数々の奇跡の種を暴いていきます。
これもあれですね。トリックのまるっとお見通しだ!のパターンです。
そんなわけで。
びっくりする位「トリック」でした。
主人公が、いわば阿部寛でしょうか。
かなりアル中ですし、阿部寛と言ってもメディアに出ているとか教授であるとか、そんな部分です。
あと、ポンコツで何も役に立っていないところの刑事、生瀬勝久役割をも担ってます。
阿部寛のたまに役立つシーン。意外と強かったりする部分は他の人が担ってます。
それこそ主人公の弟子?とかテレビのディレクターとか。
仲間由紀恵役はミラクルって言う登場人物でしょうか?実質この人が新興宗教の教祖のトリックを暴いています。
仲間由紀恵のコミカルな可愛い部分は一切ないですが。
かわいい部分はこの小説ほとんど一切ないんですけれども。
それにしても主人公。びっくりするほどなんの役割も果たしていないんですよね。
ほんと、ただいるだけ。
なのに、主人公が、いないとなんか寂しいって思わせる何かがあります。
物語は通常、人の変化を描くものですが、この作品は、周りの人の変化やら、なぜ?とか仕組みとか。人間の闇とか書かれてる気がしますね。
なぜ人宗教にはまるのか?
その辺をシンプルに説明しています。
先ほど教祖が手品をしたからなんだっていうのはあったんですが、よく考えたらこれは別に手品でなくてもいいわけで。
人を信じさせる何かそれこそ手品でなくても知識とかだったり、嘘の経歴や、経歴はほんとでもいいんだけど、何か理由つけて人に行動を促すタイプの何か。
私は東大出だとか、MBA出だとか。
だからこのセミナーにこいとかゆーやつです。
だから何?って突っ込まれたら苦しいんですが、突っ込ませない何かがありますよね。
これをわかりやすくトリックや手品で行っているだけですね。
なので、そーゆーお話にはしっかりと気をつけないといけません。
それこそ、そういうテクニックは今進化してて、話題のいただき女子とか、ホストとかがその辺の役割をになってるんでしょうね。
トリックと言うよりは、心理学の応用だと思います。
悪用といってもいいかもしれませんが。
ガダラの豚。
Ⅰ〜Ⅲまでありますが、一応、Ⅰで完結はしてるので、恐らくⅡとⅢもそうなんだろな?って感じではあります。
早くもⅡが楽しみです。
では、また。