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ベタだけど、毎日の食事に感謝
【101】「人類進化の謎を解きあかす」 ロビン・ダンバー著
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浩哉
2024/12/28

ダンバー数で有名なこの作者。

思わず図書館で名前借りしました。


ちなみにダンバー数。

人間が親密な関係を維持し、互いの社会的立場や関係性を把握できる最大人数は何人か?

との事で、色々研究した結果、約150人との結論になったんですね。


で、この人、どんなこと書いてるのかな?って思いながら読んでましたが、まさにダンバー数の事に触れられていました。ダンバー数ど真ん中の本です。


〜〜個人的な見どころ〜〜

①食料に費やす時間、時間収支の考え方

この本、タイトル通り、人類の進化にスポットを当てています。

で、何を中心に考えていくかというと、時間を中心とした考え、理論を展開していってました。


確かに、今では想像もしにくいですが、食料のゲット。

これが全ての生物の至上課題だったんですね。

人類も例外ではなくて。

一般的に人類は社会的動物で、社会も維持しなきゃならないと。


食料を探す、食べる、寝る、社会の維持。

で、それぞれ進化することによって、どう時間を合理的に使えるか?ってのを中心に展開されていった感じです。


そう。今は食料ゲットするのに時間かからないので、つい忘れがちですが、昔はそれが冗談ではなく生死をわけましたし、うまく行かなけりゃふつーに絶滅していったんですわ。

毎日の食事に感謝です。


②毛繕いと歌、物語、宗教

社会の維持。何をするかというと、毛繕いでした。

猫もお互いやってますね。グルーミング。

ここでのイメージは猿やチンパンジーのそれですが。


これが、社会の維持につながってました。

効能として、

・個体間の絆を強める

・ストレス軽減(毛繕いされる側の血中コルチゾール値が低下)

・社会的な序列の確認と維持

・グループ内の関係構築とメンテナンス


お互いのグルーミングにはこのような意味がありますが、人間はこれを変化させていってます。


ほら、毛繕いだと1対1でしかできないですよね。

それだと社会を維持していくのに時間がかかって効率が悪い。


それを解決していくのが、噂話や歌、物語、宗教であったりするわけです。

それもこれも、時間に余裕ができてきて、言葉が生まれてきたからのなせる業です。


③笑い。会話

その中で、笑いにも触れられています。

これ、珍しいなと個人的には思いました。

なかなかこういった作品にはみないテーマですし、

「薔薇の名前」なんかでは、宗教に笑いの匂いがしないって感じで、深く突き詰めていかれるほど、あまり触れられないテーマのようだったので。


言葉の出現によって、笑いの性質は変わったとのこと。

それ以前の笑いは、ある種、合唱だったんですね。

誰かと戯れたり、誰かがバナナの皮で滑って転んだりとかですね。そういった出来事に対する反応でした。


だけど、言葉が生まれてからは効果的に反応を引き起こせますよね。冗談言ったりして。

そうやって、言語によって、絆づくりのメカニズムを変えていったと考えられてます。


とはいえ、やはり物語や宗教に比べれば限定的な効果ではあるようですが。


ま、これら②と③。

今の人たちって、時間のほとんどを社会の維持に費やしてるわけで。なかなかストレスフルな環境だなぁって改めて思います。


〜〜まとめ、雑記〜〜

あと、いくつかのメモしておきたい豆知識を。

・ネアンデルタール人の脳。

我々ホモ・サピエンスより身体が大きく強く、脳も大きかったといわれるネアンデルタール人。

よく、ドラマや映画にもなる、めちゃくちゃ賢かったり、特殊能力持ってたりすると噂の種族ですよね。


ところが、この本によると、ネアンデルタール人の脳って、大きいんだけれど、ホモ・サピエンスのように、前頭葉が発達したわけじゃなく、視力に特化してるといわれています。寒いところに住んでいて、夜中も狩りをするので、視力が良くないと辛かったようなんですね。


なので、実はそこまで頭が良くなく、そこは人と全く違うようです。

そこまで手先が器用ではなかったり、器用かもしれないが、装飾って発想が実は見られなかったりするようです。


・言語の性質

言語は移り変わりが早く、すぐに方言化が進むとのこと。

言語は小規模で排他的な共同体を作るために生まれてきたのではという仮定。


確かに、若者の言葉とか、ギャル語とか、死語とかありますもんね。


・人類の傾向

赤道付近では、小規模で内向きで結束力が固くなる。緯度が高くなると大規模で外向きで個人主義になる。

原因としては、病原体に対する姿勢。

やはり暖かい所では、病原体が発生しやすいので、内向きになって外からの相手は警戒せざるを得ない感じでしょうか。

イスラム教徒の豚を食べちゃダメな傾向と似てますね。


・友人をなぜ友人とみなすか?

ポイントがいくつかありました。

共通の言語

共通の出身地

似通った学歴

共通の興味、趣味

共通の世界観(政治、宗教、道徳)

共通のユーモア感覚

うちの2つ以上共通していると、親近感を持つ友情が芽生え、それ以上共有していると、強い友情が生まれると。


友情は生まれるものであって、作るものではないと。

いつか、飲み会で「彼女ができない。恋ができない」みたいな事を言ってた若者男性に「恋はするんじゃなくて、落ちるもの!」とカッコよく言い放ったおばさまを思い出しました。


では、また。