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リベラルとか、リバタリアンとか、保守とか
【92】「テクノ・リバタリアン」 橘玲 著
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浩哉
2024/11/27

今回はこの本です。

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作者、社会学者なんでしょうか。

いつも、今の現状をわかりやすく解説してくださってます。

今の社会に不思議さを感じたら、この方の最新の本を読んでおけば、なぜこの動きになってるか、概略を知る事ができるし、これから起こる事のいくつかの意味を芯から理解する事ができます。


理解ができれば、面白いですからね。


〜〜個人的な見どころ〜〜

①主義について メモ

自由主義=リベラリズム

元々の政治的なリベラル=大きな政府

自由な福祉、人権、平等。ライフラインを国が提供。 


対抗として、小さな政府が生まれる。

大きな政府に保守!右翼!と攻撃されちゃう。

・小さな政府主義にも色々ある。

その中に、絶対的な経済的自由主義者もある。

同じリベラルだけれど、こっちの方がより自由主義。

自由原理主義=リバタリアニズム

と呼ばれる。

どっちも自由!つまり、自由は前提。


リバタリアニズムというのはようするに次のような政治思想。

ひとは自由に生きるのが素晴らしい


これに対して、リベラリズムは若干の修正を加える。  

ひとは自由に生きるのが素晴らしい。しかし平等も大事だ。



それらに対し、共同体主義。(コミュニタリアニズム)があるが、それとても「自由」の価値を否定するわけではない。


保守主義、共同体主義。

ひとは自由に生きるのが素晴らしい。しかし伝統も大事だ

つまりは、自由は基本。

なので、リバタリアンを否定するのは難しい。


自由主義、平等主義、共同体主義はいずれもチンパンジーの世界にもある。

つまり、集団で生きる生き物として持っている、動物的な感覚。


ところが、新たに功利主義が登場。

動物的な感覚とは全く異なるもの!!NEW!!

うまくいったものが正しい。


というもので、本文より補足↓

「功利主義者は、「どの政治的・道徳的主張が正しいかなんてわからない」という立場(不可知論)をとる。だが、わたしたちが社会のなかで生きていくためには、なにが正しくてなにが間違っているかの判断が必要になるので、「いろいろやってみて、うまくいったものが〝正しい〟」と決めてしまうのだ(「とにかくやってみよう」というこの考え方を「プラグマティズム」といい、アメリカ的な楽観主義の理論的基盤となった)」

こういう思想が生まれたのは、テクノロジーの進化で、検証がしやすくなったからかな?

ABテストとか?

で、下の図のようになると。

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②脳の限界

脳のシステムには大きく分けて2つあります。


システム化と共感

システム化がIQで表されるようなもので、

共感がEQで表されるようなもの。


で、イーロンや、ティールはもちろんIQは極端に高いですが、EQは極端に低い。

そして、どうやら人間の脳はこれらを両立する事が出来ないようなんです。

なので、IQが高い人の子供は、自閉症になりやすいようなんですね。


実際、この説は自閉症の研究から明らかになったようなんです。

よく言われてるように、「男は理性的、女は感情的」。

ってのを裏付けるので、不人気な説ですが、実際、自閉症はほぼ男性がなるようなんです。


今まで、脳はすごい!限界がない!って説が多かったので、こういう限界がある説ってのは新鮮でした。


③それぞれの行動原理

イーロン。

TwitterをXにした理由。

「X-MEN」からきているそうなんです。

とにかく好きなようなんですね。

イーロンの特異性。

単にEQがないだけでなく、リスク中毒の傾向があるようで。


本文↓

「橋に火をつけて退路を断ち、自ら「修羅場」に乗り込んで脅迫的なやり方で部下を叱咤し、周囲からは実現不可能と思われた目標を達成してしまう。「生きている実感」を得られるのは焼けつくようなリスクにさらされたときだけで、事業が安定してくると精神的に不安定になり、うつ傾向が強くなる」

あと、ウォークって呼ばれる、

恐らく日本でいう極端な意識高い系の人。

その人たちが、イーロンが引くほど金を稼いでるってだけで不公平だと、訳のわからん攻撃を仕掛けているようです。


必死で働いてるイーロンにしてみれば、侮辱も侮辱ですよね。なので、ウォーク、大嫌いになります。


※この本の後の出来事ですが、

トランプを全面的に応援したのも、ある種修羅場にわざわざ飛び込んだようなもんですからね。

自分でも、トランプが負けたら破滅って言ってたくらいだし。

それに、ウォークみたいな人はトランプ大統領みたいな人、嫌うでしょからね 笑。


ティール。

イーロンと同じく、めちゃ賢いが、いじめられていたり、学校での居場所、理解者に苦労してたようです。

そこで、彼は自分と似たような立場の人と大切に交流して、ある種、カルトのようなものを作っていきます。


そこがイーロンとの違いですね。


ティールは、彼なりに色々と挫折を味わいます。

弁護士や金融関係で働くも、どうもピンとこずだったようで。


その中で、これは僕も早めに読もうと思った本がありまして。ティールに影響を与えた本、というか、理論なんですが。


ルネ・ジラールの「模倣理論」

欲望に関する研究です。

簡単に結論すると、

「自分たちの欲望は、他者の模倣である」

って理論です。

ある時、ティールも実感しちゃいます。

自分が他者の欲望。模倣してるだけって事に。


で、フェイスブックが、他者の欲望を模倣したい者たちにとって強力なドラッグになることに気づき、投資を即決したそうです、


あと、両者。

人類の絶滅や死の危機感を深刻に捉えていて。

それが火星だったり、ティールが作ろうとした安全保証、テクノロジーを使った監視社会。もしくはニュージーランドへの避難所の作成だったりするようですね。


〜〜まとめ、雑記〜〜

この他にも、暗号通貨のお話があり、

これもやはり政治形態。

リバタリアニズムとかが関わってくるんですが、

流石に難しすぎるので、省略しました。


とにかく、これまでの社会の流れ。

原因と思われる流れをしっかり描ききってくれているので、とにかくわかりやすいです。

知的好奇心をいつも満足させてくれますね。


この本を読んで思ったのが、とにかく「X-MEN」ですね。

いちど、映画見たくなりました。


とはいえ、ティールや、イーロンの次の世代のお話や、考え方、まとめきれなかったので次回も続きます。

では、また。