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インドが舞台のホームズ?
【4】「ボンベイのシャーロック」ネヴ マーチ著 
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浩哉
2024/01/24

今回はインドが舞台のミステリーです。


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Xで、ふくまる(@fumaru0427)さんの読了ポストみて、なんか面白そうで、表紙がカッコよくて読みました。


  〜〜個人的な見どころ〜〜

 ①東インド会社!!

舞台はボンベイ。今のムンバイです。

1857年のセポイの乱から30年後のお話。

セポイの乱。歴史に詳しい人ならピンときますでしょうか。


ピンとこない方も、この名前なら聞いたことあるはず。

「東インド会社」

インドを実質統治していた彼らによる様々な行動が、インドの兵士の反乱を招きます。

イギリスが抑えるんですが、結果、東インド会社の統治からイギリスの直接統治になり、ムガル帝国が滅びました。


インドはおそらく昔の江戸時代みたいに、地方によって藩主がいて統治し、イギリスに楯突いたらイギリスが統治し、そうでなければインド人が統治するって形になったようです。

これはこの小説からの類推ですが。


インド周辺国の不穏な国々。カースト制度。色んな宗教。奴隷制度。不穏な空気を抱えながらのイギリス統治。


もしかしたら今のインドも混沌としてるかもですが、そんなもん、足元レベルのびっくりするような混沌とした社会が舞台です。


 ②ホームズにあこがれる主人公。

そんな混乱の申し子のような少しややこしい事情を持った元軍人の主人公。

怪我で入院中にシャーロックホームズの「四つの署名」を読んで、すっかりハマります。


退院日が近づいたある日、新聞読んでるど、不可解な自殺事件を読んで首を突っ込んでいくのが始まりです。


この主人公。ホームズに憧れて捜査方法や、引用なんかしてますが…。

どっちかといえば武闘派です。

軍の中のボクシング大会で優勝してたりするようでして。


実際のホームズもボクシングだったか、格闘技はやってましたね…。

でもホームズのメインはやっぱり推理です。

一方、主人公は推理よりも武力メインってイメージがつきます。

わりとやられる事が多いんですが…。


あと、主人公の恋愛観?いや、恋愛関係がすごくまどろっこしいです。

そりゃ、時代や場所の制約が激しい時代ってのもあり、そういう教義ってのもあるとは思いますが。

それにしてもまどろっこしい。

「どこがホームズやねん!」って何度もツッコミながら読んだもんです。

ホームズって、あまり恋愛要素、少なかった記憶があるので…。




 ③ミステリー?

そう。タイトルにホームズってあるので、ミステリーと思わされますが、ミステリー要素よりも冒険要素が勝っています。


頭に浮かんだのはなぜか西遊記とかドラクエとかです。

推理というよりはミッション。

一つミッションをクリアすると、一つ謎が解け、また謎が現れます。で。またミッションが…。って感じです。

その都度、主人公がなんか酷い目に遭ってるのが、なんか笑っちゃいけないけど笑っちゃうというか…。


主人公もホームズというより、ジャッキー・チェンが頭をよぎります。

時計台が、プロジェクトAだったかA2だったかのあのシーンを連想させたので。


あるいは、もっと見た目がゴツい俳優。

スタローンとか?

格闘家のヒョードルとか?


お話は、一つの致命的ともいえる悲しい事件はありましたが、概ね良い感じに収束していく感じでした。



   〜〜まとめ、雑記〜〜

読んでいくと、インドのカースト制度、イギリスの貴族的な制度。戦いに巻き込まれた人々。奴隷が当たり前の時代の人の売買。

土地による文化、支配層の違い。

未だイギリスへの反抗を諦めていない藩主。


主人公が事件を追っていくたび、当時のインドのあれこれが顔を出していきます。

その辺り、歴史のロマンを感じながら読んでいただきたいって本でした。


ただ、どこがホームズやねん!

って所が多く、そこはどうなんだって思いました。

ただ、原題が「マーダー・イン・オルド・ボンベイ」。


あら。どこにもホームズの文字はないですね。きっと邦題付ける方がシャーロックって付けたんでしょうね。

確かに主人公のホームズ愛はなかなかでしたから。


個人的には、主人公が電車に乗っていて、いきなり始まった紛争に巻き込まれて、なんとか生き抜くところが好きでした。

正直、全く展開が読めなくなった部分でしたから。


あとは、一時的に軍に復帰して仲間を助けにいくところも良かったです。

ここらあたりになると、この作品のノリも理解できましたので。


ただ、最後のボクシングの試合は何かもう、笑っちゃいました。


今回は何度も思いました。


「どこがホームズやねん」



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価値観って変わっていく所と、あんまり変わらない所があるなと。

主人公は気の優しい男で、紛争に巻き込まれて、怪しい男に少女をレンタルしないか?って持ちかけられます。


それに義憤を感じた主人公は、怪しい男と交渉して少女を買い取ります。

もちろん、いかがわしい事はせず、主人公がお世話になってる家族の一員に迎えてもらいます。


これは今でもわかるといいますか、理解できる行動です。


一方、主人公は結婚とか、人付き合いに関して、わりとカースト制度とか、貴族の風習とかに従順なんですよね。

この辺り、ちょっとわからなかったりします。


ちなみにこの時代、日本では明治あたり。

セポイの乱が幕末あたり。

主人公の活躍してた時代が、ちょうど大日本帝国拳法が出されたり、そろそろ日清戦争がはじまるか?あたり。

けっこうな動乱の時代です。

この辺りの時代の世界。産業革命が世界に広がっていって、便利さと混乱がピークに達してる印象がありますね。


そんな中、みなさんどう生きてるか?って感じで読むのも面白いかもです。




実は今、時代小説読んでます。

舞台は江戸時代のようです。

スマホがない時代のお話が続きます。


では、また。