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呪術…。大戦。
【39】「ガダラの豚 Ⅲ 」 中島らも 作
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浩哉
2024/05/25

恐らく、主人公の娘を取り返そうとするバギリと、それを迎え撃つ主人公一味。

ってストーリーになるだろなと。


前回で、バギリの呪術は圧倒的な権力だってのを自分で話してたので、呪術というよりは人海戦術とか、トリックとかで奪還を試みる。そんな争いになるのかな?

って思いながら読みました。 

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あ。これⅡですね。


〜〜個人的な見どころ〜〜

①清川くん…。

今回も前回のⅡと同じく表紙の裏のあらすじだけ軽く読みました。

そして最後のほうの1行に気になる言葉が。

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清川くん…死んじゃうの?

ちょっとこれがにわかには信じられませんでした。確かに最後のほうの逃避行で、結構なキャラクターがお亡くなりになったんですけれども。

主要メンバーは割とみんな元気で。


なので、今回も文体が底抜けに明るく軽いというのがあったので、この清川くんの死っていうのはちょっと受け入れがたかったです。


ただ、「大団円」この言葉を信じて恐る恐る読んでみたんですが…。


嘘。結構人が死んじゃうじゃないですか。

まさしく田中芳樹レベルです。

大団円っていったい…。

もっと平和な終わり方をすると思っていただけに意外でした。

あらすじに騙された形になりますね。


②え? そのⅠ

ガッツリ呪術だと?

今まで呪術をどちらかといえば否定した形で話が進んでいます。


それこそⅠではトリックを暴いたり、Ⅱでも単純な権力パワーを使っていたことがわかっていたり。

なので、このⅢもどちらかと言えばそういった争いになるのかなと。

日本にはトリックを暴く専門家のミラクルって人がいますし、どちらかと言えばⅠに戻って呪術をトリックで見破る!といったそんな展開だと思っていました。


ところがですね…。

そのミラクルも殺されちゃいます。

それも謎の呪術で!!


清川くんにしても、その他の登場人物にしても、暗示もあるでしょうが、ほぼ呪術といったトリックでは説明がつかないやられかたをしています。


何よりも、Ⅰの冒頭ででてきた謎の和尚さんがまさかの再登場。

敵の1人と、呪術なのかなんなのか、超常現象大戦を繰り広げます。


壮絶な相打ちで、闘いは終えました。

叙述トリックで、和尚さんと戦ったのは、バギリと思わせていて、結果、バギリではなく、そのお弟子さんだったってのがあって。


え?もしかして、バギリは大したことなくて、そのお弟子さんが凄いの??

って思ったりもしたんですが、全くそんな事はなく、バギリもしっかり呪術師でした。


もう、ホント、呪術全開でした。

Ⅱまでの、呪術=トリックだったり、生活習慣だったりの描写は一体どこへ行った?と。


何かに問い詰めたい気持ちになりました。


③ええ? そのⅡ

主人公のまさかの目覚め。


まあね。そういうネタ振りはありました。

今でゆー、伏線でしょうか。

占いにも出てた、主人公の先祖が強力な呪術師だっての。


ただ、その能力は主人公の娘にいってるとばかり思ってました。

娘が力を発揮した、そういった描写もあった気がしましたし。


それがまさかの、主人公の目覚め。

目覚めたといっても、スーパーサイヤ人みたいに、人格が変わるとか、戦闘力が上がるとか、そんな事ではなくて、蟻を自在に操る能力なんです。

うん。地味です。

だけど、強いです。

だけど地味です。

…(繰り返し)


この主人公らしさ。最後までブレずにいてて面白かったです。


 〜〜まとめ、雑記〜〜

今回の最後のⅢでは、最初はトリックのながれといいますか、呪術と言うよりも科学で証明された技術的なもの、サブリミナル効果と洗脳の分野が最大限利用されていました。


そういえば、サブリミナルも実はあんまり効果がないのでは?って少し言われていますよね。


有名な映画館のコーラとポップコーンの実験も。ちょっと再現性がなかったみたいなことを何かの本で読みました。そう。再現性がないそうなんですよね。有意なほどまでには。


洗脳も。こちらも、どこまで本作みたいに極端なのかわかりませんが。アンカーを刺激して洗脳状態に陥らせるっていうのは、実際にあるようですね。

オウム真理教での苫米地氏の本とか読んでるとそう思います。


ともあれ、そういった序盤のサブリミナル、洗脳ものから完全に1本抜きんでて、もう呪術大戦な形になっているのが面白いです。


まさか主人公の最終奥義が蟻なのがなかなか面白いです。


話の展開的にも、科学から眉唾物の科学。完全にオカルト!のこの順序が素晴らしいです。

普通逆だったりするんですね。オカルトチックに見せていたけれど、結局は科学だったみたいなパターン。まあ、トリックとか。

それでも最後まで読み応えのある展開で。

大団円って形で話を占めるのはやっぱり素晴らしいです。

ただ、大団円…。個人的にお気にの清川くんが亡くなっても…。


で。気になった大団円の意味をAIに聞いてみました。


「大団円」(だいだんえん)は、日本語で「物語や演劇などの終わりの部分において、すべてがうまく解決し、登場人物たちが幸福な結末を迎えること」を意味します。つまり、ハッピーエンドや円満な結末のことを指します。物語のクライマックスの後、すべての問題が解決し、登場人物たちが満足している状態が描かれる場面です。

ま、生きてる登場人物はそうかもですが…。

とはいえ、確かに読後感は良かったし、面白かったです。


では、また。