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短編SFその2!
【24】 「息吹」 テッド・チャン著
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浩哉
2024/04/03

この間、3作読んでだと思いましたが。

4作読んでました。

3作目。短すぎて記憶に残ってなかったですね…。

いや、記憶には残ってましたが、テーマが1作目と似てたので、ごっちゃになってました。


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それでは今回の作品たちです。


    〜〜個人的な見どころ〜〜

 ①予期される未来。

ある機械が人類の運命を変えてきます。

それが「予言機」

機能としては、いたってシンプルです。

人がボタンを押す1秒前に、ライトが光ると言うもの。


これが面白いほど正確で。誰もこのルールを破ることができません。

いろんな方法を試しますがダメでして、やがて人々は悟ります。


未来は決まっていて、自由意思は存在しないということに。


こういうの、最近よく言われたりしますよね。

きっかけはおそらく、脳科学の分野だと思うんですけれども。脳が指令を送る秒前に人は行動起こすようでして。

脳が右手を動かそうと判断したときには、もう勝手に右手が動いてたりするって言う実験があったんですね。

これが確かに不思議で。一体どういうことなんだろうって感じです。


個人的にはこれは反射の問題なんじゃないかな?とかいろいろ思ったりするんですけれども。


それを違う方向で考えると、人間に自由意思は存在しないと言う形になるのかなって思ったりします。


このテーマも未来は「決まっている」「変えられない」ってあたりが1作目の錬金術師の話とちょっと被ってて。だから、僕の中でこのお話が1作目とごっちゃになってました。


正直これを書いてる間書いてる時は本を読み返しながら書かないようにしていて。

読んだ後の感覚で書きたいって言うこだわりがあるんです。で。たまにこういうことが起こると。うん。言い訳です。


あ。で。その社会の混乱の最中に書かれたって感じの本になります。

面白いです。


 ②ソフトウェア オブジェクトのライフサイクル

これは前回の続きですね。

前回ネット上で存在するネット上のペットを現実世界のロボットに移植して、あちこち移動できるようにするっていうところまで話を進めました。


で、そのペットを作っていた会社が事業を畳んでしまって、小さい小穴集団の中でペットとそのロボットたちは生き続けています。


そのロボットたちが自由にネットと現実のロボットの間をお聞きして、何か革命でも企むのかなと思ってました。


ところが実際は、ものすごく緩やかに話が進みます。

ペットのネット世界が狭くなり方にも誰にも使われなくなります。過疎化が進んだんでしょうね。


新しいネットの世界にペットを連れて行くために、データの書き換えをどうしようか悩んだりしています。


ネットの世界はどんどん進化していって、主人公たちが飼っているペットよりもはるかに優秀なプログラムが含まれたりします。

それで、やっぱりそういう最新のテクノロジーの会社の人たちは、金を持っているので金に物を言わせて、その主人公たちのペットのデータを買おうとします。

ただ、その会社。性産業も視野に入れてると大っぴらに語る会社でもあります。


ペットをデータとして見るか、性産業とか関係ない愛すべき対象として見るか。

ただ、データの書き換えには金が必要…。


そのあたりの苦悩と決断が読みどころです。


作品中のペットのも、正直そこまで利口ではなくて、まぁ中二レベルの知能かもって感じはしたんですけど。

それでもペットたちも少しずつですが、きっちり成長していっていろんな会話を飼い主とします。


もっと自分の選択肢を広げたい。自分のことは自分で決めたいって言った形になって、飼い主と話し合ったりします。


その中で登場人物が考えたのが、「ペットの法人化」です。

これができるかどうかっていうのもテーマになっていきます。

色んなテーマが内在していて面白かったです。


 ③デイジー式全自動ナニー

親と子の愛情物語です。

この作品。面白いのが過去のお話でして。

なるほど、過去のお話でもSFとしては成り立つんだなと。


「グレート・ツェッペリン」を読んだ後なのにそういうことを思ってました。


発明家(なのかな…?)の主人公は、子供を乳母に任せていました。あ。乳母を英語でナニーって呼ぶようです。

で。ある時、乳母が子供に暴力を振るってるのをみて、これはいかんってなり、色々あって、自分で乳母を作ってしまおうと考えます。

で、実際にタイトル通りの名前の乳母を作ります。


意外と売れたりするんですが、ある時、誰かの子供が亡くなってしまいます。

誤作動で。

のちに、その誤作動は、亡くなった子供の親が勝手に改造したからだってわかるんですが、時すでに遅し。


一切売れなくなります。


やがて時は経ち、ナニーが再発見され、色々馬鹿にされるんですね。昔のトンデモ発明みたいな感じで。

で。その記事を読んだ主人公の子供が、(ナニーに育てられた子供)父親の名誉回復のため、バージョンアップ版ナニーを作ります。


で、父親と同じように自分の子供をナニーで育てようとしますが…。

ってお話です。

人の良いマッドサイエンティストって存在するよなと。

愛情が必ずしも正しく作用するわけがないと言った。見本のような気がします。


自分にも、子供の親として、なんかちょっと身につまされる良い話でもあり、マスコミ噂伝聞のいい加減さを改めて思い知らされる作品でもありました。


     〜〜まとめ、雑記〜〜

短い短編、プラス読んでた途中の作品なんで。

今回は色々短くなりそうですが、どの作品も面白いです。


今の社会、科学、問題点とか、色々感じることができるのでSFは面白いですね。


想像力も広がりますし。

今回はやっぱり②が面白くて。


人以上の知能を持ったアンドロイドが出現する前に、②の問題がまず出てくるかなと。

ロボット3原則もそうだけど、法的にどう扱うか。

その中で法人化は一番リアルだなと。


法人っていうのが面白い概念で、会社も人と同じ義務とか権利とかあるって言う考え方なんですけど、


AIが人権?権利?を勝ち取っていく方法としては、これ以上の方法は無いのかもっていう感じがしました。


権利ってなんのやねん?ってのもありますが…。

そういえば、実質社員としてYouTubeで稼いでいる犬や猫は数多いですけど…。犬や猫の法人化はないなとかなんか。

そんな変なことまで考えさせられました。

では、また。